配偶者から日常的に暴力を振るわれているなら、離婚を考えてみてください。たとえ夫婦間であっても暴力は許されない違法行為です。DV(家庭内暴力)を理由に離婚する場合には慰謝料も請求可能です。
今回はDVによって離婚する方法や注意点を弁護士が解説します。
このページの目次
1.DVで離婚できるケース
DVを理由に離婚できるのは、相手から継続的に一定以上の暴力を受けている場合です。たとえば以下のような場合、離婚できる可能性が高いでしょう。
- 継続して月に複数回暴力を振るわれている
- 1回の暴力の時間が長い
- 相手の暴力によって骨折などの重傷を負った
- 相手が日常的にお酒に酔って暴れる
一方、結婚後1回しか殴られたことがない、平手打ちをされただけでけがもしなかった、という場合には、離婚が認められない可能性があります。
DVの証拠
暴力を理由に離婚するには、暴力を振るわれた証拠が必要です。
- 診断書
- けがをした部分の写真や動画
- 事情を知る人の証言
- 日記
- 録音、録画の記録
上記のようなものを集めましょう。ご自身で証拠集めの方法がわからない場合、弁護士がアドバイスいたします。
2.DVの慰謝料
DVで離婚する場合、慰謝料を請求できます。
金額はケースにもよりますが、50~200万円程度が相場となっています。
慰謝料の金額が増額されやすいのは、以下のようなケースです。
- 婚姻期間が長い
- 暴力の程度が激しい
- 暴力が振るわれていた期間が長い
- 暴力によって後遺症が残った
- 暴力がひどいためにうつ病などの精神病になった
- 収入がない(低い)ため、離婚後に妻(被害者)が生活不安を抱えるおそれがある
3.DVで離婚する際の注意点
3-1.被害の拡大を防ぐ
DVで離婚する場合には、相手からさらに暴力を振るわれないように注意深く手続きを進めましょう。同居したまま当事者同士で話し合うと、相手から酷い暴力を振るわれて大けがをしてしまう可能性があります。以下のような方法を利用してください。
別居して話し合う
自力で別居する方法です。賃貸住宅を借りたり実家に戻ったりして相手と離れたうえで、離婚協議を進めましょう。
DVシェルターへ避難する
賃貸住宅や実家へ相手が押し掛けてくる可能性がある場合や緊急的に保護する必要性がある場合には、DVシェルターへ避難する方法もあります。警察や女性センターに相談して紹介してもらいましょう。
保護命令を申し立てる
相手が押し掛けてきて身に危険が及ぶ可能性があるなら、裁判所へ保護命令を申し立てましょう。保護命令(接近禁止命令)が出たら、相手は半年間配偶者へ接触できなくなります。実家の親や子どもへの接近禁止命令も出してもらえます。
3-2.離婚調停を利用する
相手と直接協議するのが難しければ、離婚調停を利用しましょう。「DV事案」であると伝えると、裁判所も配慮してくれて相手と顔を合わせないように対応してもらえます。
暴力を受け続けながら婚姻生活に耐える必要はありません。「私もDV被害者ではないか?」と少しでも思い当たる節があるなら、一度弁護士までご相談ください。