公務員と離婚する場合、一般的なケースとは異なる注意が必要です。
以下で公務員の離婚で押さえておくべき知識やよくあるご相談内容をご紹介します。
このページの目次
1.退職金の財産分与はどうするの?
相手が公務員の場合、一般的な離婚の事案より「退職金」の財産分与を受けやすい傾向があります。退職金支給の蓋然性が標準的なサラリーマンよりも高くなるためです。
一般的に退職金も財産分与の対象になりますが、100%確実ではありません。基本的に以下のような条件を満たす必要があります。
- 離婚後10年以内に退職する
- 退職金が実際に支給される蓋然性が高い
会社ではたらいていても倒産や転職などの可能性があり、必ず退職金が支給されるとは限りません。そこで上記のような条件を課して分与対象にするケースを限定するのです。
公務員の場合、定年まではたらく方が多いですし退職金が不支給になる可能性は非常に小さいといえます。そこで一般的なケースより退職金を財産分与に含めやすくなるのです。
退職金を財産分与対象にする場合には、現在退職した場合の見込み額を基準としたり、将来受け取る額を婚姻年数で按分して計算したりします。
公務員と離婚する場合には、相手が若くても退職金を財産分与に含められる可能性があるので、忘れずに請求しましょう。
2.共済組合の貯金はどうなる?
公務員の方は「共済組合」を使って「共済貯金」をしているケースが多数です。
共済貯金とは、公務員の給料から天引きして毎月一定額を積み立てる貯金で、共済組合がお金を運用しています。一般の金融機関へ預けるより利率が高く、年利0.5~2%にもなります。
財産分与といえば「預貯金」や「生命保険」に目が向きがちで、共済貯金を忘れてしまう方がおられます。
共済貯金は財産分与の対象になりますし、むしろ高額になるケースも多いので、必ず内容を調査して分与請求しましょう。
3.年金分割の対象は?
相手が公務員の場合、年金分割も請求できます。
公務員の年金は、かつては「共済年金」でしたが今は「厚生年金」に一本化されています。
統一されたのは平成27年10月です。
共済年金も厚生年金も両方とも年金分割の対象になるので、婚姻期間が長い方の場合、分割によって受け取れる金額も高額になる可能性があります。
合意分割が必要な場合、離婚の際には相手と話し合って年金分割の合意を取り付けましょう。分割割合は2分の1とするようお勧めします。
離婚時に相手が合意しなかった場合、離婚後2年以内に年金分割調停を申し立てれば裁判所で年金分割してもらえるので、早めに対応しましょう。
当事務所では公務員を相手にした離婚案件も数多く取り扱ってきました。お困りの際にはぜひとも一度、ご相談ください。