未成年の子どものいる夫婦が離婚するときには、子どもの「養育費」の取り決めをしましょう。
養育費については近年金額が増額されたり、滞納されたときの「差押え」が容易になったりして請求者側に有利な変更が行われています。
今回は離婚後の養育費について、弁護士が必要な知識をご紹介します。
このページの目次
1.養育費の金額
養育費は、毎月一定額を払うのが原則です。具体的な金額は、夫婦が自分たちで話し合えば自由に取り決めてかまいません。義務者が支払える範囲で、お互いが納得できる金額に設定しましょう。
自分たちでは適正な金額を決めにくい場合、裁判所の算定基準を参考にしてみてください。
家庭裁判所は、義務者と権利者それぞれの年収や子どもの人数、年齢に応じて適正な養育費の金額を定めています。
https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html
こちらの算定表では2019年12月に金額が改定され、全体的に増額されました。
新たに養育費の金額を取り決めるなら、該当する表を参照してあてはめてみてください。
2.養育費の始期と終期について
2-1.養育費の支払い始期
支払開始時期は「離婚直後から」です。離婚した翌月から支払う約束をしましょう。
ただし離婚時に約束をせず離婚後も請求しなかった場合、「請求時からの分」しか認められません。もし離婚時に養育費の取り決めをしなかった場合には、早めに相手に通知を送り、支払われないなら養育費請求調停を申し立てましょう。
2-2.養育費の支払い終期
養育費の支払い終期は、基本的に「子どもが成人する月」までです。
ただし話し合いにより伸ばしたり短くしたりしてかまいません。子どもが大学に進学するなら「大学卒業時まで」としたり「22歳になった次の3月まで」としたりするケースが多数です。
高卒で就職するなら「高校卒業時まで」とするのが通常です。
子どもや夫婦の状況に応じて柔軟に対応しましょう。
3.養育費の滞納を防ぐ方法
養育費の滞納を防ぐには、必ず「公正証書」で取り決めておくべきです。公正証書があれば、相手が滞納したときにすぐに給料や預貯金などを差し押さえて回収できるからです。
ただし調停や訴訟で決まった場合には調停調書や判決書、和解調書などで差押えができるので、公正証書は不要です。
4.養育費を滞納されたときの対処方法
もしも公正証書や調停調書、判決書などがあるのに養育費を滞納されたら、速やかに差押えを行いましょう。
近年、民事執行法が改正されて差押えが簡単になっています。
相手が預貯金を預けている金融機関や、勤務先を調べやすくなりました。また相手が裁判所での財産開示手続きに応じない場合のペナルティも強化されています。
今まで養育費を払ってもらえず泣き寝入りを強いられたケースでも、これからは支払を受けられる可能性があります。あきらめずに弁護士までご相談ください。
当事務所では離婚にまつわる問題に悩む方へ積極的な支援を進めております。離婚時や離婚後に養育費関係でお困りごとがありましたら、ご連絡いただけますと幸いです。